大峠は、国道121号(旧道)の山形県米沢市と福島県喜多方市の境に位置する。
磐梯朝日国立公園内の標高1157mの峠で、ヘアピンカーブが続く峠には、長さ約50mの大峠隧道がある。
■大峠について
そのむかし伊達政宗によって開かれたが、藩政時代も道幅狭く牛馬も通れないほどの難所だったという。
この街道はかつて旧米沢街道(檜原峠経由)に対して新米沢街道とも呼ばれ、明治時代、福島県令三島通庸が会津三方道路の一つとして開削させたものである。1882年(明治15年)の着工から2年後の1884年(明治17年)8月に完成をみたが、過酷な道路工事に従事させられた農民たちは、弾正ヶ原(塩川町)に集合し、喜多方警察署を襲撃する事件を引き起こしたりした。
その後、この道路は遠く関東、山形、秋田とを結ぶ役目を果たしてきたが、奥羽本線の開通によって福島〜米沢間が便利になり、また、西吾妻スカイバレーが開通したことなどにより急激に衰微し、かつて喜多方・米沢間に定期バスが運行された面影はない。
冬期間は雪のため通行止となり、再開通は雪解け後の6月であったため、喜多方・米沢間の冬期間の交通を確保するために、延長3,940mにも及ぶ大峠トンネルをはじめとする計11本のトンネルと、深い渓谷を跨ぐ橋梁23本でむすぶ国道121号大峠道路が旧道の西側に新たに建設され、旧国道121号大峠はその役割を終えた。
現在は、山形県側一部区間が事実上放棄され、通り抜け不能となっている。
なお、大峠道路改築事業(直轄区間)は福島県側が継続中で、最終的には、トンネル14本、橋梁25本になる予定である。
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