駒止(こまど)トンネルの北側に残る峠道である。さらにこの北側一帯に駒止湿原が広がる。道路からは直接見ることはできないものの、遊歩道が整備され、貴重な自然が息づいている。
現在は町道駒止線となっており、峠の茶屋付近で、国道400号舟鼻峠へ抜ける大窪林道に接続している。
■駒止峠について
駒止峠は、南会津郡田島町と南郷村山口の境界に位置する国道289号の峠で、標高は1,135m。
坂があまりにも急で馬を止めて休ませなければならなかったことからこの名がある。
福島県内でも積雪量が多い地域に位置し、その延長が1,220mもあって幅も狭く、急カーブが連続しているため(特に南郷側)、冬期間は徒歩以外の手段で越えることはできなかった。
しかし、南会津西部の伊北郷や伊南郷と、行政・経済の中心であった田島をつなぐ重要な路線であり、西部で生活する人々の生命線のような役割を持っていたことから、明治の初めごろから冬期間も、田島町の静川局と南郷村の山口局が峠の茶屋で郵便物を交換するなど西部の村々との通信や物資輸送などが行われたが、遭難事故も数多く発生した。
当時は現在の峠の南にある小峠(1,168m)を駒止峠と呼んでいたが、交通量が多くなったことから1889年(明治22年)の農民救済事業による道路付け替え工事が行われ、駒止峠の名は新道に移された。
その後、田島・山口間の最短コースであることの利点を生かそうとする地元の人々の要望もあって、1971年(昭和46年)に国道に昇格となり、それに続く舗装工事の完了など除雪対策も進んだことから、バスの運行も確保されるようになった。
1975年(昭和50年)から峠の南に2kmに及ぶトンネルを含めたバイパス工事が進められ、現在は駒止トンネルとして供用されており、旧道となった駒止峠は、除雪されることはなく冬期間は雪の下で眠りにつくこととなった。
付近には国指定天然記念物の駒止湿原がある。
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